ハム宅配便第5話

「京都運輸でーす。お世話になります」
男は30歳の宅配請け負い業者だった。ダイハツハイゼットカーゴで乗り付けた。
愛知県北尾張尾張郡本町12番地にある「スーパー情報タウンCIA3」は、地上22階建てでオートロック式、宅配ボックスを一部に導入し、元愛知県警警備部長で公安専門だった人が立ち上げた警備会社「しすてむくん」にもリンクしており、監視システムも備えたハイテク式マンションだった。
マンションとは事実上の和製英語だが、これを正しい意味のアパートメントを意味するアパートと言うと、ここの住人は怒るのだった。
宅配ボックスは宅配業者にとってありがたい設備の筈なのだが、スーパー情報タウンCIAの場合は住民カードとのリンク式の登録制になっていて、オートロックに押すのと同じ部屋番号を入力し、該当が確認されてからやっと利用できる。
普通は、宅配ボックスは全室に利用でき、不在表に貼り付ける不在シールに暗証番号と何番口に配達したかを入力し、印刷するだけなのだが、スーパー情報タウンCIAは登録の確認の手間がかかった。しかも、9棟ある内、1棟と4棟にしかボックスがなく、1棟が1、2、5、6、4棟が残りの棟を管理しているので、とても煩わしい。そのため、ドライバーによっては在宅率の上がる夜間にまとめて配達したがるのだが、このマンションは新着の荷物が毎日平均20個あり、更に前日の持ち戻り貨物が合わさると大変な労力である。
しかし、早い時間帯に在宅確認し終わらないと、荷室は荷物がいっこうに減らず他の荷物を探すのも苦労するから悩みの種だった。何と言っても宅配請け負いと言えば積載量が小さい軽自動車に乗って居るからなのである。

京都運輸は元々愛知県の重機メーカーから脱サラした社員が立ち上げた、企業向け配送業だったのだが、宅配に参入するに当たって、「ヤマト運輸」や「東武カエルセンター便」など宅配大手2社に対抗すべく、委託業者を広く募集したため、この男のような委託業者には働きやすい配送業者と言える。
ただし、大規模な倉庫を必要として来て郊外に大規模な営業店を点在させる方針を変えなかったため、配達コースによっては現場までかなりの長時間を要すると言う問題もあった。
つまり、ヤマトのように何度も営業店に立ち寄ることが難しいので、朝の時点で160個もの荷物を積むわけである。
荷物によって単価も違うので一概には言えないが、確かに報酬は高い方である。警察で言う在職中の行政官と、引退したあとの職で得た莫大な資金を手にした脱サラ行政官との差と考えれば分かりやすい。
とは言え、そのような苦労も多いし、客によっては業者を見下す輩もはっきり言って多いので、ストレスも相当なものだ。200人の人間と会って、4割にそのような対応をされたと思ってみて欲しい。
神経が弱いドライバーは胃が痛くなり、痔を発症し、食欲も失せ、寝不足と不眠症に悩まされるに違いない。
この男も新人の頃は、週に3時間しか寝られず繁忙期を働いていたのだ。
最後の配達を終えた頃には8時をとうに過ぎていた。
尾張郡内を京都運輸南武本社北尾張丸郭営業店内同センターに向けて走っていると、国道41号線途上において、北尾張警察の職質特別担当長の乗る北尾張6号車と出くわした。
警視庁や愛知県警で鍛えられた聴取のプロで、まだ20代ながら県内での職質実施件数はトップ。警視庁で言ってもレベルが高いので、地方の管局ではもはや別格の存在だった。
「先輩、また会ったね。こんな時間まで頑張ってんね」
担当長が話しかけてきた。
「おー。長かい」
自分とほとんど同世代の長に向かって男も気兼ね無く応じた。
「今日泊まりなの?」
「そうだよー。明日の昼まで面倒だよー」
愛知県は本部勤務も社内勤務も執行官は3交代制である。本日は職質特別担当長の係だった。担当長は地域第3係に所属していた。つまり「3当」、第3当番のことである。
「ところでさー、先輩だから言うけど、さっき06でバン掛けたら自ら隊が柄に引っかけられてさ、発生署管内で応援態勢になってるんだけど、08っぽくて上衣白シャツ、下衣色不明ジーンズ、長髪天パーって見かけなかったかい?」
「多分、そこのローソンで水飲んでた熊谷ナンバーの野郎じゃないの?」
「さっすが先輩。いつも悪いね。恐れ入るけど、フルナンバーと地名住所詳細願えるかな?」
「ナンバーは熊谷2文字、数字サンマルマル、飛行機のひ、ロクマルマルマルマルマル、自動車利用マツダの黒色のステーションワゴンだったよ。確かあそこの番地は本町上字6番地じゃなかったかな。店名までは覚えてないけど」
前月、ローソンに宅配した時に番地を記憶していたのだった。
そばで聞いていた相勤はすぐに照会のため、警察電話で刑事部に連絡を取った。
「よし、ありがとう。いっちょ、捕まえてくらー」

尾張署内に戻った巡査は、担当長に尋ねた。
「あの人が地域や警備課長が噂してた、京都通運の人ですか?」
「そうだよ。元々は都内の人で、理由は知らねーけどこっちに移ってきた。公安の関係者と仲が良くて、県警に出向している警備局のキャリアにも知人がいるらしいよ」
「何で宅配しながら公安なんかと仲良くなるんだろう」
「そこは都内の人と地方の住まいの人の感覚の違いだよ。都民に職業は関係無い。やる気があればどの方向にも人脈は広がっていくもんだよ。俺も警視庁に出向していたとき、築地の公安から上がってきた幹部と話していて教えてもらったけど」
「そう言えば部長ももうすぐ警備部で公安担当でしたね。いいなー。私も公安に興味があるんですよ」
「だったらよ、君も早く東京の風に当たった方がいいね。警察に拝命したなら、願ってでも警視庁や警察庁本庁には出向いてみるべきだよ。田舎だからとか抜かす奴は所詮田舎警察だよ。レベルの高い奴は青森でも福井でも、警視庁レベルの仕事をしている。そう言う人はまた本庁に呼ばれる。東京に居たって、連中は毎日管局担当者から報告を貰っているけど、庁内局毎の管局担当ってのは常にどこのどいつを本庁に寄越させるか探しているような感じだからね。頑張る奴は、どんなに辺ぴな田舎警察にいても報われるってのが日本の警察の良さだね」
「部長は刑事と公安、専務をやるならどっちがおすすめですか?」
「刑事と言っても、組対とか捜2とかある。その組対だけでも例えば4係や5係もあるけど?」
「部長は以前、捜1だけはやめておけとおっしゃてましたから、刑事部なら捜2にしようと思ってます」
「刑事ならそれがいいな。捜査第2課ならば代々県警内トップ勢力の警備部公安課や外事課第3係と友好関係なだけでなく、結局は捜2の課長が刑事部の事実上の権力者だからな。捜1は僕の考えでは、部署として必要なれど我は属するなかれってことだな。もうこれからはますます捜査一課派は時代に取り残されていくと思うよ」
「今の公安課長はここの前の社長でしたね」
「わが社は歴史的に公安警備閥だったからね。一説には本庁の官房人事課や、警視庁警務部人事第1課長の意向と言う噂もあるくらいだ。刑事部や生安部ですら、うちの社長にはなりたくてもなれない」
「警視庁の人事第1課長と言えば、そうかみんなキャリアの意向ってことですね」
巡査が驚きの声を上げた。
尾張警察は警視庁の規格と同じB署で、本庁でも広く知られた「公安の島」と呼ばれるような社風で、なぜか社長人事は公安か警備からの人事異動と決まっていた。北尾張を制するは警備を制するに等しいと言われていて、次の異動は本庁勤務か本部部長職へ異動の内示が約束されていた。
「やっぱ私も公安だなー」
巡査は心に決めたようで、一変して表情が穏やかになった。2人は残務処理をしにもう一頑張りに繰り出した。

ハム宅配便第4話

いつも乗り込んでいる、CNG(天然ガス)搭載のハイゼットカーゴのキーが変形して、仕事に支障が出たので、連休の時に相談しに上京した。
元々、毎日のように名古屋市内の24時間の天然ガスステーションに通って居たのだが、体力的に負担が大きい上、オートマチックのため燃費がかなり悪いのでこの際、ミッション車に乗り換えようと思い東京に戻っていた。
船橋に住む小岩の宅配屋に会いに行った。彼の実家は習志野車屋で、宅配下請け業者を優遇していた。
「ターボでミッションでFRでロールーフで、オプションはLEDヘッドライト?」
「そんなの、130万は超えるぜ?新車買った方がいいんじゃねーの?」
上野で待ち合わせした千葉の親子は二人揃って驚いて言った。
「兄ちゃんよ、貯金はどんだけあんだい?」
「250万くらいかな」
「売る方が言うことじゃねーけど、新車を買ったらいいじゃないの」
親父に諭され店をあとにした男は、ぶらりと都内を散策することにした。
男は都内に住んでいたと言っても渋谷方面だったため、上野はかなり以前に理由すら定かではない用事で立ち寄って以来であり、未知の街だった。
さすがに東京都全域で言っても数えるほどしかない警備拠点の一つと言うだけあって、都会らしく巨大な雑踏地区を形成しているのが分かった。浅草寺(せんそうじ)の警備本部は日本全国を縄張りとする本庁警備局が主導するほどの土地柄であるだけに、警察官の活動がよく目立つ。男の働く愛知県でも県警内は警備部が最大派閥を利かせており、機動隊展開、公安の作業は民間人の男にもよく知られるほどのレベルだった。しかし、警視庁の警備は更に上を行っている。
これが平時と言うのだから、都内各界そして、警視庁の治安維持能力には驚くばかりの思いがした。
警視庁のパトカーが男のわきでたまたま止まった。
「お!久々だな」
助手席の警部補が男と目が合うなり話しかけた。
男が調布に住んでいる頃に、警視庁第3機動捜査隊に勤務していた巡査部長だった。元は本庁警備局出向で、主に所轄の公安の作業マンとして実績を積んでいると聞いていた。巡査部長は公安部勤務の経験は無かったが、キャリアの公安総務課長も評価していたので、相当の人物であろうことは素人の男にも想像できた。
「階級が上がって会社のお巡りですか」
「人2から圧力がかかった」
「新」警部補は冗談を言いながら続けた。
「調布の頃、途中で引っ越したから寂しかったよ。先輩との掛け合いも相当の情報源だったからね。元々機捜って柄じゃねーんだから、俺は」
「確かに、立川、麻布、戸塚、築地と、全部警備の作業担当を経験されてますからね。僕が本官じゃなくてもこの経歴が凄いのはよく分かる。よく本部に呼ばれませんでしたね」
「本部に呼ばれたのは、一時期の組対5課の銃薬だけだったな」
「銃薬?公安系だから知能ならともかく銃薬って」
「調べはよくしてたからな。人事評価で組対の頭やってたホモ参事官に見初められちまった」
「それって、監察に出された山本ってゲイですか?」
「そう。菱にガサ情報売ったのがバレて本庁から官房の偉いさんが入って相当ガツガツやられたらしいよ」
「京大生なのに頑張ってるなーと思ってたんですけどね」
「関西人は警察官僚に多いけど、諸刃の剣(つるぎ)なんだよね。特に大学の出身まで関西はちょっとな」
一番末端レベルで公安情報に携わった警部補は持論を展開した。
「ところで、お前さん、その後は岐阜県に引っ越したそうじゃないか。今日はどうして上野に?」
「引っ越したのさすがにバレてましたか。さらっと言うのが凄いですよね。いや、今日は愛知の北尾張で新しく始めた宅配の仕事に使ってる車がすね出しましてね。代わりの車をアテに来たんですよ」
「戻ってきたんじゃないのか」
「まぁ、案外、都内に戻ってくるかも知れませんけどね」
係長は男の住まいの地名を聞いてはっとした。
「ちょっと待てよ。岐阜と言えば備局の理事官が警務部長で行ったとこだよな。今まで準キャリで続いていたのに、本部長も元長崎警備の部長だし。官房総務に外事から人出したからかな。今の次長はずっと本庁の公安ばかりだったからな。いよいよ、オリンピック前に駆除対策に乗り出したか。あそこは叩きの県だけど、事故が少なくて若い幹部には安全物件なんだよね。ただ、警視監の異同となるとちょっとただ事じゃないね」
「確かに。今までは西日本の国立大出身の警察じゃない方面の人間が登用されてたけど、ここのところ東大卒の警視長だったな。現本部長でかなり久々に警視監が本部長になったんだよね」
「公安には元々、反中国はかなりいたけど、最近は世論の後押しもあって反在日にまで拡大してきている。特に警視庁の公総、公1、公2だな。戦前のナチスにちょっと風潮が似てきている感はあるけど、まぁ俺はナチスには同情的だから、国際世論から孤立しなければ同じ道を進むのもオッケーだと思うんだよな」
「確かに今の反ナチズムは、旧連合国がまいたプロパガンダで、実態はちょっと違うと言う論者は増えていますもんね」
「さすが先輩、よく調べてるね」
「やり過ぎた感はある。けれども原因はユダヤ人にある。僕は親パレスチナでもないけど、イスラエル側には付けないかな。これだけはトランプと立場を異にしている」
「え?!先輩はやはりトランプ派なの?」
「僕は日本じゃ自民党アメリカじゃ共和党を支持してるよ」
男は当然のように答えた。
そこへ元第9機動隊で浅草交通課の若手の警部補がミニパトで乗り付けて止まった。
「お疲れっす。あ、先輩、確か田調管内で以前、お話した事ある人?」
「田調?あぁ、大森管内に住んでた頃ね」
「今日はこんな所まで。お仕事で?」
「彼は今、とある地方で頑張っていて、配達の仕事に使う車両をお探しにいらしたんだよ」
ハム警部補が代わりに説明した。
「今は何にお乗りになってらっしゃるんですか?」
ハイゼットカーゴです。天然ガス仕様のね」
「ボンベ、邪魔にならないですか?確かかなりでかいボンベが室内に置かれてる仕様ですよね?」
「よくご存じですね」
「ほら。前回も話したかも知れませんが、私は9機に居ましたからね。不審車両や族の乗り付けた車両も瞬時に判別しなきゃなんなくて、車に詳しくなったんですよ。9機の次に所属した多摩中央警察の警備課長が公総の作業担当係長で、調査担当もしてきた経緯で色々教わった事も大きいんですけどね」
「そのとおりだな。上司に恵まれたな」
上野のハム係長がうなずいた。ハム警部補は同じ係長でも筆頭格のため、元9機の浅草係長より準上司に当たっていた。
「やはり、配達で使うならオートマチックではなくミッション車で、フルフラットになるガソリン車じゃなくちゃ!」
「新人の頃はアクティに乗ってたんだけどね。元々ホンダが嫌いってのもあってハイゼットに乗り換えたようなもんだし。今でもあの車は代車としてうちに置いてあるんだけど」
「なら、尚更ガソリン車でしょ!あのボンベのスペースは、かなり積載効率を落としてますよ」
「なに、その言い振りだと係長は宅配に詳しいの?」
「甥がヤマトの委託、妹も日本郵便の委託なんですよ」
「ヤマトかぁ。儲かってそうだ。聞くところによると、郵便も夜配は単価が上がるって聞いたなぁ。僕は京都運輸だけど、ケースサイズで変動があるだけだからなぁ。件数やんなきゃ儲かんねーんだよね」
「特に私の甥は都内地区なので、アマゾン関連で確かに相当儲かってるようですよ」
「やっぱりガソリンのミッション車だよな」
男はつぶやいた。
二人と別れると、男は自宅近くの自動車販売業者に電話した。元岐阜県警警備部の公安担当のノンキャリで、本庁警備局理事官のほか、本庁官房の人事担当からの評価も高かった人物だ。当然、今でも岐阜県警警備部、勤務経験はないが警視庁公安部の両者と協力関係にあった。
上野の係長の話をすると、業者は懐かしそうだった。
「会社のハムはあいつに任せとけって言われてる、作業もこなす人だね。叩き上げの職業作業マン。へー。今や筆頭係長かぁ。僕は彼と同い年でこの世界に入ったのも同時だけど、若い頃を知っているからなぁ。当時は不器用で、でも一生懸命だった。僕が都内にいた頃は本庁勤務だったし、奴は会社ハム系だったから直接引っ掛かる事は無かったけど、当時の上司は部署違いにも関わらず注目してたなぁ。本部勤務には敢えてしないようになってるんじゃないかなぁ。確か今の人2の課長は捜2の主任やって評価高かった人でしょ。公総とも仲良かったからなぁ。あの人は」
男はこのハムの世界のネットワークの果てしない感じが聞いていて好きなのであった。

ハム宅配便#3

朝に為った。
午前6時の国道はさして広くは無い、4車線のバイパスで、市内の住宅地、行政集積地区、倉庫地区を結び、その先には県警本部とそこを管轄する央南警察署のある市内行政地区が有る。
男の駆るエブリィバンは、5速のマニュアル・トランスミッションで有りターボでは無いが車の流れの先頭に立ってどんどん走って行く。
国道には2ヵ所も交番が在ったが、警視庁の様に立番は居なく、築地や上野の様に拡声器で一喝される心配も無い。
男の住む岐阜県を管轄する岐阜県警は、公安系のノンキャリかキャリアが本部長で有り、職員の質そのものも情報戦、セクト対策が主で元々職務質問に力を入れて来なかった事も一因だった。只し、警察庁による評価は大阪や神奈川と比べるとかなり安定しており、比較的若い本部長には安泰と言える県で有った。
岐阜には今や業界最大手と為った西濃運輸所縁の地が大垣市に有る。管轄する大垣警察の社長は東海道岐阜警察の社長とライバル関係に有り、本庁出向時代には補佐同士で意識し合った背景が有った。
男の職場は業界で第4位の京都運輸興業の尾張営業所だった。かつては西濃運輸と同じ業務用貨物が得意分野だったが、通販の普及に伴って宅配にも広く進出して居た。只し、宅配のノウハウが宅配最大手のヤマト運輸に及ばない為、一部のドライバー(正社員)便を除いて外部に業務を委託して居た。男はその委託業者だった。
車は持ち込みなのでエブリィバンも自家用車だった。只し、京都運輸は代引きもかなり大々的に委託業者に任せて居る為、黒ナンバーにする事は絶対条件と為って居た。
またドライバーの商業便もやはり人手不足の為、類似業者の小型トラックに委託して何とかやりくりして居た。
営業所の積み場に直接車を乗り付けると、バックドアを開けて荷物の積み込み準備を始める。
京都運輸の関係会社が営業担当別に仕分けをし、それを委託業者十数人程で配達したい荷物を選別して行く。宅配委託の場合、貨物一つに付き実質的には130円から300円で歩合制に為り、大きかったり重かったりする程、報酬も割高に為る。只し、大型貨物を積むと積載効率が落ちる為、積み込めるケース数が制限される。
尾張営業所は愛知県北西部の2市2町1村、5自治体を受け持って居るが、男はその内の北尾張市が担当だった。ここに配属されるのは、セクタービジョン、ひまわりグループ、旭商会、世田谷成城軽便。
軽宅配委託の集合体だ。男は世田谷成城軽便のメンバーだった。
尾張市は大きく分けて60地区に分ける事が出来る。およその地名は委託業者全員が把握しており、担当コース専用の区画にケースや小包を積み分けて行く。
積み分け終えると、男は北尾張市用の尾張営業所発行のカスタマー伝票を取り出し、コース伝票を選んで抜き取った。
当日日付入りのカスタマー伝票だけクリップ止めし、先付け伝票とは区別する事にした。先付けとは、当日以降の先読み指定の貨物の事を言う。
コース専用区画のすくそばにスペースが有り、今度はそこへ荷物を整理して行く。間違えて先付け貨物が紛れ込んで居ないか、コース選別を間違えて積み込んで居ないか。
整理が終わると、スマートフォンの形をした専用端末で業務用操作をして行く。問い合わせ用番号をレーザービームで当てて京都運輸のデータベースに送信させる。
データによって顧客情報とリンクされ、配達指定メールもこの端末が受信出来るシステムだ。手動でデータベースにアクセスしなければ自動的に10分から15分毎に送信されて居た。
ざっと伝票をクリップに止め終え、改めて顧客情報一覧にアクセスして配達指定の有無を確認してから本格的な積込である。本当は積み込む度に入力をしなければならないのだが、現実的に効率を考え積み込み前に入力をする下請けはかなり多い様だったが、京都運輸の総括ドライバーや主任ドライバーや係長職のトップドライバーは黙認して居るのが現実だった。
積み込む時は下請けによって積み分けはして居るものだが、何せ軽自動車に積み込むものだから結局ごちゃ混ぜに為らざるを得ない。
そこで重要なのは「荷姿」の書き込みである。これもドライバーにしても下請けにしてもルールは殆んど無く、荷物を間違えず送り届ければ結果オーライと言う感じに為って居た。
男の場合は小包の場合は外装色が茶色の場合は「カ」、外装が白色の場合は「シカ」、黄色なら「キカ」もしくは「キイカ」「クロカ」、更に貴重品指定の貨物は「◯」で囲って「キ」と書く。
箱(ケース)の場合は茶色の場合は何も書かず、重量物や大型ケースの場合はサイズ数の「160」と書き、他の場合は「シ」だったり「ク」もしくは「クロ」と書くのであった。
時間指定の場合は午前なら「AM」もしくは「12」「8-12」等と様々だった。
積み込み終えると殆んどの宅配業者と同じようにゼンリン発行の「住宅地図北尾張市・新北尾張郡(尾張町横浜町・新宿町・舞踏会町)」を見て地図付けをして行く。メール便は伝票が発行されないので、メモ帳に届け先と荷姿を書いてクリップで止めて行く。
本来は指定無しの貨物が時間指定の貨物と同一住所である事がたまに有るので、全ての伝票を取って地図付けをした方が効率がいいのだが、ケースバイケースだが午前指定の配達がドライバーに殺到して居る場合は、午前指定分だけ最低限の地図付けをして効率度外視で配達に出掛けて居た。

ハム宅配便#2

「初めまして」
三人で会ったのは初めてだった。
警視と登録者は握手した。
登録者は元々は東京在住で、福岡県生まれ、横浜育ちだった。登録者の両親は父が横浜出身、母が新潟出身、祖父は東京出身で戦前は特高警察と協力関係に有ったと言う。
その後、色々有り、今は北尾張で宅配委託として働いて居る。
当然、公安閥である北尾張警察とは協力関係に有り、度々有効情報を寄越して居た。
「警視最後の異動がここですか。すると、次は生安局の課長か管局の管理職辺りですかね」
登録者は警視の紹介を聞くと口をきき出した。
警視が小牧の三菱から情報を盗み出しそうな中国人の近況を、愛知県警の公安はどの程度取って居るのか調べて欲しい旨を伝えた。
「小牧管内や春日井管内の中国人と為ると僕の活動圏外だからすぐには分からないんだけど、愛知や本庁の保安課の風営系情報によると、春日井と一宮までを含む広域的な名古屋近郊として外国人風俗関係は昔と変わって一体的に為りつつ有るらしいですよ。愛知の生安は弘道会対策の一環も有って、風俗情報の信頼度は一定のレベルを維持してますからね、そこからの情報だから信頼は出来ると思います」
登録者は信用出来るとまでは敢えて言わない様に気を付けて居た。
「中国人の情報ね、分かりました。三菱の航空部門の情報は、安全保障上の懸案ですからね、早急に愛警公安でどの様に為って居るか探りましょう」
登録者は約束をしたところで、三人は分かれた。

「さすがと言うか、特殊な市民と言う感じ」
警視は東海道岐阜社長に感想を述べた。
「じいさんが特高と絡んで居たのは実は家庭内でも孫のあの野郎しか知らないんだが、じいさんも実質的にはスパイの実行行為者そのものの様な存在だった。孫のあの宅配屋がああなるのも頷ける気はしますね」
歴代の公安キャリアと仕事をして居た貫禄を見せながら社長は返事をした。警視は頷き聞くだけだった。
翌日、警視は愕然とする事に為る。

登録者によればどこからか本庁からの依頼が漏洩して、県警組対局局長から圧力、妨害工作が起きて居て愛警の公安は情報を殆ど捕る事が出来ないで居るとの報告だった。

「本庁や警視庁の組対でも有名だとは思いますが、愛知の組対局は弘道会と蜜月関係ですからね。弘道会内の何らかの親中国派から影響を受けた組対局が妨害を開始したと思うのが自然でしょう」
宅配屋改め登録者の男からもたらされたメモを聴きながら警視は怒りを隠す事が出来なかった。
「この野郎。ヤクザごときに肩入れなんざしやがって。舐めてるよな。警察の怖さ、教えてやろう」

警視は即刻、本庁で全国の公安作業を司って居る警視正の理事官に緊急の連絡を入れたところ、本庁内の公安から刑事局と官房に申し入れが有り、漏洩元と為った県警警備部長は監察へ異動と為った。
官房の幹部もまさかそこまで無能とはと言った反応だった。

「御苦労さん、林だけど」
本部で電話に出た愛知県警の刑事部長は、警備部長の更迭を耳にした直後だったので緊張しきりだった。警備部長は準キャリのトップに上り詰めた人物だったのだ。電話は電話番号から元警視庁公安部長で警察庁刑事局長で有る林警視監からだと分かった。
「もしもし、ご苦労様です。局長」
「今回のあのアホやった警備部長を飛ばしたのは当然として、村瀬御前んとこの組対四課にゃ、いつまで同じ事させてんだよ」
警視監はついつい前任の警視庁の組織名で喋って居た。
「妨害したと噂されて居る、組対局長の事でしょうか」
「そうだ。奴はうちの組対部の勤務の経験も有るんだよな」
「はい。3年前に東京に出ております」
「奴も本部から出せ。警備局長はかなり御立腹だったぞ。再来年には先輩は官房長だ。人事権握られた状態で恨まれる意味はキャリアの村瀬君なら分かるよね」
急に優しい口調に為った林に対して、村瀬警視正はかえって恐怖心に駆られた。
元公安部長の刑事局長から電話で猛烈なバッシングを受けた村瀬は、緊急に組対局長と面談する事にした。

「おい、高木!ちっと俺の部屋に来い」
刑事部長は局長との電話を終えると、左手で受話器を持ったまま組対局長席に電話して呼び付けた。刑事部長の村瀬は元々横浜でグレて居た事も有る人物で、口調にはドスが利いて居た。
余りの剣幕にいつもは厳つい組対局長も一目散に部長室に飛んで来た。
刑事部長は現役時代の事も有るが、かつて警視庁の組対部長で専門はヤクザ対策の組対四課だった事も有り、いざと為った時の凄みを効かせた時の声は恐ろしかった。この時の声のトーンがそれを示して居た。
「おい、御前よ高木、よく菱の野郎と会ってるって色んな部署から目撃談来てるけどよ、まさか、この前言ってた、弘道会のとこの風俗の元締めから何か言われて動いたなんて事は無いよな」
「部長、なぜその件を御存知なんでしょうか」
ノンキャリの局長は慌てた口調で尋ねた。愛警の組対局長の異動はノンキャリとキャリアのローテーション人事だった。
「俺の着任の祝いの席でてめえ、酒に酔って俺に語ってんだよ」
局長は半年前、刑事局から異動に為った村瀬警視正の祝いの席でのやり取りを思い出せない様だったが、頭を掻いて誤魔化して居た。
それを見て居た村瀬は続けた。
「まあそれはいいとして、菱から何か言われて動いたって事は無いんだよな」
「じ、実は」
「有るってのかい?!」
四課上がりの刑事部長が再び凄んだ。
「直接では無いんですが、風俗の元締めしてる井上ホールディングスに近い、田中産業って言うとこの社長から、小牧でうろうろしてる警察が目障りだから何とかしてくれって」
「あ?てめえ、マル暴局長やってて何寝惚けてやがんだよ。田中の野郎は井上の組の代貸しだろうが。それが菱の片棒担いだってんだよ!」
部長は自分の執務机を怒りで叩いた。揺れて落ちたペン立てに局長は思わず震え上がった。もはや暴力団捜査のトップの威厳は失われて居た。
「さっき、局長からクレームが来た。上の方で大問題に為って、局長も肩身の狭い思いを為さって居るそうだ。悪いけどよ、もう御前を官房から守ってはやれない。懲戒は嫌だろうから、後は自分で都合のいい様にしろ」

今回の件で、いずれも愛警の警備部長と組対局長は人事異動を発令する警察庁官房の判断で降格処分と為り、生涯、本庁には異動出来ない状況に追い込まれた。
翌日には二人とも揃って依願退職して居た。全国でこの手の職員事故が多いのは、神奈川、大阪、愛知と警察庁では恐れられており、未だにこの警察庁三大悪と言われる負の温床が改善されない現状を示して居るかの様だった。

ハム宅配便#1

「参った。今、キャップに呼ばれたんだが、愛知のハムに異動だ」
「いつですか?」
「来週発令される」
築地管内にある公安警察の密会の場で、若手の本庁の警視が後輩の警視庁の警視にぼやいて居た。
後輩の警視はノンキャリだが作業能力の評価が高かった。
「愛知と言えば北尾張と言う会社がありましてね、あそこの社長は大使館勤務の経験もあって、本庁の理事官からも人気有りましたよ。結構いいんじゃないんですかね。愛知のハムは元々ダメなとこじゃ無いじゃ無いですか。先輩は何の担当かは決まってるんですか」
「いやただな、部長は県警の機動隊一筋のアホらしい。情報なんて扱った事の無い野郎なんだそうだ」
「え?そこまで言う程アホなんですか?」
「東北の震災の時に向こうで一緒に為った外事出身の奴が長崎に居るんだが、酒は飲めるがただの体力馬鹿って言ってたよ。コンピューター音痴で文字を読むのもひどく遅いらしい」
「愛知の警備と言えばハムで行くって訳じゃ無かったでしたっけ?」
「知らん。前に御触れ出したのは反公安の急先鋒で警視庁の警務部で管理官をした事のある野郎なんだがな。うちらに対する嫌がらせとしか思えないな」
警視は怒りで言葉を詰まらせた。
警察の中にも最大勢力を誇る公安に根に持つ勢力は多く、刑事警察のノンキャリや他の部でも彼らと関わりのある人物は事ある毎に公安や警備局の批判をするのだった。最も理解の有る刑事部の捜査第二課の中ですら公安に嫌な態度を示す者は少なく無かったのだ。
この事に公安でも不快に思って居るのだが、公安は公安で職業柄も有って表立って発言する事を控えて来ただけに批判勢力の言いたい放題に為って居たのだった。
「まぁ、向こうの社長やキャップと仲良くやって行くしかありませんよ。中部管区なら公安の評価の高い岐阜にも署境は近い様ですし、岐阜県内の会社じゃ二社程人気の高い警備課長が居るそうですが、元々はハムからの上がりで作業経験も優れて居ると評価されて居る筈ですから、先輩達に免じて辛抱辛抱」
後輩の警視は励ますので必死に為った。

次の週、警視は自家用車で首都高速3号線を走り出すと世田谷から乗り継いで東名高速から愛知県警本部に向かった。
警備部長に着任の報告に出向くと、前任の部署でかつての同僚の警視が話し掛けた。
彼は本部の外事課長をして居た。愛知県警本部の外事課長は警視庁の外事第三課と同じでキャリアが就くのが慣例だ。
「警視庁の同業者がまたぼやかれたって俺にぼやいて来たよ」
外事課長はやれやれと言った様子で同情しながら話し掛けて来た。
「今の官房は反公安だからな。嫌がらせのつもりかも知んねぇが、公安出身の副総監もだいぶ不愉快に思ってるって話だから、次からは公安に理解のある人事の一課長が内定してるから頑張ってよ」
「頑張れっつってもよ、俺の上司が入れ替わるのはいつに為んだよ」
警視はまたぼやいて居た。
「俺からの口添えで、あんたには公安に強い社長が揃って居る、第一方面の尾張方面の補佐をやって貰うから勘弁してよ」
愛知県警本部の補佐とは、本部課長である警視正もしくは警視長の補佐と言うポジションで有り、警視庁以外の警察庁も含めた多くの警察本部組織で存在して居た。
警視は作業能力は平凡だったが前所属時代の管理能力や渉外能力を買って居た外事課長は、警備部長や外事課長の知人でも有る元警視庁警務部人事第一課勤務の愛知県警警務部の人事担当に口添えをして居たのだった。
その日の内に補佐に着任した警視は、警視庁の後輩が話して居た北尾張の社長と彼の子飼いの警備課長と警備課代理とアポを取った。

「どうも。補佐」
10歳年上の北尾張警察の社長は満面の笑顔で補佐を出迎えた。階級は警視正だが、補佐と違ってノンキャリだ。
同署の警備課長や同課の代理も上機嫌な様子で笑顔だった。
話を聞くと、公安的に能無しの部長に対し露骨に反応した事を知って気を良くした様子だった。県警本部の部長はやはり公安警察には難有りの幹部と思われて居たのだ。
「社長さん、素晴らしい評価をうかがいましたので期待しておりますよ」
「何を仰る。私なんて東京じゃ話になりませんでしたよ」
「ここらはトヨタなどの製造業の他、航空産業も有りますので、本庁でも警戒して尾張地区には公安を張り付かせようと言う方針の様なんですよ」
次に警備課長は素早く本題に入った。
「やはりトヨタ反自民党ですから。左か右か、反国家主義保守主義かで言ったら反国家、我々の視察対象ですからね」
警視も応じた。
「最近、中国人が小牧市岩倉市と言った名古屋の衛星都市に住み着いて居るのですが、やはり問題がある様です」
代理も話題に加わって来た。
「やはりですか。本庁でも理事官は三菱の情報が盗まれる事を危惧して居るんですよ。中大(中国大使館)対策の警視庁の外二の管理官がピリピリして居ました」
「先日本庁に報告したところで、只今まで視察対象者を行動確認して居ます」
「素晴らしい。既に面割りも終えてやさも割り付けられた訳ですね?」
「報告では語学スクールに通うメンバーをはじめ、日本人家庭向けの家庭教師の経験もある柄まで確認しました。特に重要なのが二名です」
社長が最高潮の笑顔に為ったと同時に課長が上司である警視に話し出した。
だが警視は、手を上げて制止した。
「ちょっと待って。それって多分、警視庁はおろか愛知さんの備局も知らされて居ない筈、そうですね?社長さん」
「おっしゃるとおりです。やはり、関係者以外はまだお伝えしない方が宜しいでしょうか」
「それはそうですね。私もこの話は一旦忘れる事にします。後々の事も考えて」

警視は一旦その場を引き揚げる事にしたが、公安の端くれとして、今しがた耳にした事案に興味が湧き、社長にそれとなく岐阜県警で公安に強い警察組織に付いて教えて貰う事にした。
社長は本庁の理事官の顔を立てた形にした警視に尚更好感を抱き、予め岐阜県警の公安閥の面々に対して紹介を行う事を約束してくれた。

岐阜県警で事情を知らない者には東京から来た者と、警察関係者ですがと暗に断って出た。
出て来たのは岐阜県警東海道岐阜警察と言う中規模の所属の社長と副社長だった。全国的にも公安の関係者には有名な二人で、社長の方は分析が、副社長の方は国際テロの調査が得意だった。
愛知の北尾張の面々と同じで、一見すると公安のエリートと言う感じはしないのがかえって公安らしいとも思えた。
言葉の端々に公安らしい几帳面な感じがあった。例えばあの組織は誰がトップで人員がどれだけで所在地の住所も詳細に暗記して居たり、所属警察署からの主要地点までの距離を数十メートルの誤差で細かく発言したりしたのだった。

「北尾張?ああ、春日か」
ベテランの叩き上げの社長の警視正は北尾張警察の名を聞いてすぐに指揮官の名前を言い当てた。
元々世田谷区に住んで居た事もあり公安の多くと同じ様によどみなく標準語を操って居た。
「三菱絡みの危惧は、直接ではないが、私も聞き及んでおりますとも」
十一歳年上の警視正はやはりキャリアの警視に最低限の言葉遣いで話して居た。
「この件は本庁の判断で情報統制が掛けられて居る筈であり、北尾張さんにも伝えましたが私は一切聞かなかった事にしました。その上で、別個として岐阜警さんには登録者を抱えた、優れた会社さんがあるとうかがいまして」
「なんだ。狙い済まして居るじゃ無いか。岐阜県内で最大の公安と言ったら、うちじゃ無いか」
「登録者の方に三菱で愛警がどの程度把握出来てるか聞いては貰えませんか」
「なんだ。気を利かせなくていいんだよ」
そう言うと社長は机上電話に向かって一言話した。程無くして警視と同い年くらいの調査担当長が入って来た。
「警備課の森です」
「本日から補佐に就いた菅原です。宜しく」
二人は握手した。
「長よ、管内の第二地区に居住の登録者だが、補佐に直接会わせちゃくれねぇかい」
社長が親しみを込めた雰囲気で長に詰め寄った。
「結構信頼されて居そうですね。いいでしょう。業界の常識はおありなのでしょう。本日、アポイントを取ります」
長は警視の方をじっと見詰めながら話した。
「奴も並みの堅気じゃありませんからね、公安にも非常に協力的ですから、本庁から異動で来たと知らせたら、その意味を理解して居る奴なら向こうから会いたいと言って来る筈ですよ」